深刻な借金問題を抱える親を持つ人は想像以上に多いものです。親の借金が発覚した時、多くの人が「自分にも支払い義務があるのでは？」「今後どうすればいいのか？」と不安を感じます。特に昨今は高齢化社会を背景に、親の借金問題で悩む子供が増加傾向にあります。
実は法律上のルールを知り、適切な対応をすれば、親の借金問題から身を守ることは可能です。今回は具体的な対処法と、相続放棄の手続きまで詳しく解説します。
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親の借金は子供に本当に影響する？まずは現状把握を
借金の問題が発覚した時、子供が真っ先に心配するのは返済義務の問題です。親の借金は本当に子供に影響するのでしょうか？結論から言えば、基本的に子供には返済義務はありません。
しかし、いくつかの重要な例外があるため、まずは正確な状況把握が必要です。借金問題は一時的な対応ではなく、長期的な解決策を考えることが重要になってきます。詳しく解説しましょう。
原則として子供に返済義務はない
民法上、親の借金は親個人の責任であり、子供に返済義務が及ぶことはありません。法律では各人が自分の債務に責任を持つ「個人責任の原則」が基本となっています。
借金取りが「親の借金だから子供も払え」と迫ってくることがありますが、法的根拠のない要求です。むしろ、そうした取り立ては違法行為になる可能性が高いので毅然とした態度で断りましょう。
注意ポイント
近年特に問題になっているのが、スマートフォンの普及による電子契約です。親が子供のスマートフォンを借りて契約してしまうケースも増えています。そのような形跡がないかこまめに確認しておくとよいでしょう。
親の借金が発覚！まずはこれだけは確認を
借金問題が発覚したら、まず総額と内訳を正確に把握することが重要です。親が協力的な場合は、信用情報機関に情報開示請求をして借金の全体像を把握できます。
特に注意が必要なのは、自分の印鑑や名義が勝手に使われていないかという点です。残念ながら、親子間では印鑑の無断使用や名義借りが起きやすい傾向があります。特に親と同居している場合、印鑑などが簡単に持ち出せる環境にあるため要注意です。
もし名義の無断使用が発覚した場合は、すぐに金融機関に連絡して事情を説明し、今後の対応について相談することが大切です。被害届の提出を検討する必要がある場合もあります。
借金が判明した段階で重要なのは、冷静な判断です。感情的になって一時的な解決策を選んでしまうと、かえって状況が悪化する可能性があります。まずは専門家に相談し、法的な選択肢を検討するとよいでしょう。
親の自己破産で子供の生活はどうなる？
親が自己破産を選択した場合、子供の生活にも大きな影響が出る可能性があります。自己破産では原則として車や不動産などの財産を手放す必要があり、同居している子供は住居を失うかもしれません。
家賃の滞納がある場合は立ち退きを求められることもあるため、事前に新しい住居を探す必要が出てくる場合もあります。ただし、子供自身の財産は破産手続きの対象外なので、子供名義の預金や資産には影響しません。
破産手続き中は、親の給与も差し押さえられる可能性があります。生活費の確保が困難になる場合もあるため、事前に資金計画を立てることが重要です。破産管財人が選任された場合、家計の細かいチェックが入ることも覚悟しておきましょう。
破産後の生活再建に向けて、親子でコミュニケーションを取りながら計画を立てることが大切です。特に住宅ローンや教育ローンなど、長期的な影響がある債務については、早めに対策を考える必要があります。
なお、親の破産が子供の就職や結婚に影響を与えることは通常ありません。親の信用情報を、無関係の組織や個人が知ることはできないからです。親しい親戚や友人の口から、子どもの結婚相手や就職先の耳に入ってしまう場合も考えられますが、レアケースだと思って良いでしょう。
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親との縁を切るべき？その前にできる対策とは
借金問題を抱える親との関係をどうするか、多くの人が悩むポイントです。絶縁は最終手段として考え、まずは他の解決策を検討しましょう。問題解決には時間がかかりますが、焦って判断を誤らないことが大切です。
親との絶縁で失うものと得られるもの
確かに親との絶縁により、精神的な重荷から解放され、自分の人生を取り戻せる面はあります。借金の問題から完全に切り離されることで、新しい人生をスタートできます。
一方で、故郷を失い、親族との関係も希薄になりがちです。住宅ローンなどで保証人が必要な場合に困ることもあります。冠婚葬祭の場面でもさまざまな問題が生じるかもしれません。
絶縁を選択する場合も、法的な手続きを踏んでおくことが重要です。住民票の移動、各種契約の名義変更など、やるべきことは意外と多くあります。絶縁後のトラブルを防ぐため、弁護士に相談するとよいでしょう。
【絶縁する前にまず検討】債務整理という選択肢
親との関係を修復する可能性を残しつつ、借金問題を解決する方法として債務整理があります。
債務整理とは
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と交渉して返済条件を見直す方法です。通常、利息を減額したり、返済額を減額できます。親の収入状況が安定している場合は、この方法が適している場合が多いでしょう。
個人再生は、定期的な収入がある場合に選択できる方法です。住宅ローンなど、残したい財産がある場合に特に有効です。返済総額を減額しながら、一定期間で計画的に返済していきます。
特に高齢の親の場合、過去の借入れで過払い金が発生している可能性もあります。過払い金請求により借金の一部を相殺できる場合もあるため、専門家に相談するとよいでしょう。
債務整理を選択する場合、親の収入や財産状況を詳しく確認しなければなりません。年金収入だけの場合と、不動産収入がある場合では、選択できる方法が変わってきます。また、債務整理中は新規の借入れができなくなるため、生活設計の見直しも必要です。
認知症の親の借金にはこう対処しよう
認知症の親が借金を抱えているケースも少なくありません。放置すると遅延損害金が膨らみ、貸金返還請求訴訟のリスクも高まります。
こうした場合は成年後見人を選任し、法的な保護のもとで債務整理を進めるのがおすすめです。成年後見人には親族がなることもできますが、専門職後見人を選任することで冷静な判断が可能になるでしょう。
認知症の場合、契約時の意思能力が問題になるかもしれません。明らかに判断能力が低下している時期の契約であれば、無効を主張できる可能性もあります。医師の診断書など、証拠となる書類を集めておくことが重要です。
相続放棄で親の借金から身を守る！具体的な手続き方法
親が亡くなった後、借金が発覚するケースも多々あります。そんな時に有効な手段が相続放棄です。手続きには期限があり、要件も細かいため注意が必要です。詳しく解説しましょう。
相続放棄の申請期限と提出先
相続放棄は「相続開始を知った時から3ヶ月以内」という厳格な期限があります。期限を過ぎると相続放棄ができなくなり、借金も含めて相続することになりかねません。
申請は被相続人が最後に住んでいた地域の家庭裁判所で行います。近年は新型コロナウイルスの影響もあり、郵送での申請にも対応している裁判所が増えています。
申請期限の起算点は「相続開始を知った時」ですが、単に親の死亡を知っただけでは起算点にはなりません。借金の存在を知った時点が起算点になるケースも多いため、専門家に確認することをおすすめします。
必要な書類と手続きの流れ
相続放棄には被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人（相続放棄する人）の戸籍謄本が必要です。相続放棄申述書と、申述する相続人1人につき800円分の収入印紙と連絡用の郵便切手（準備する額面は申述先の家庭裁判所に要確認）も忘れずに準備しましょう。
郵送で申請する場合は、必ず配達記録が残る方法を選びましょう。書類の不備があった場合、再提出が必要になる可能性もあります。
相続放棄は相続人それぞれが個別に期限内に手続きを済ませなければなりません。未成年の相続人がいる場合は、特別代理人の選任が必要になることもあります。
専門家に相談するメリット
相続放棄は一度行うと取り消すことができません。また、期限を過ぎると二度とチャンスは訪れません。そのため、できるだけ早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
多くの司法書士事務所・弁護士事務所では初回無料相談を実施しており、問題の全体像を把握した上で具体的な解決策を提案してもらえます。専門家のサポートを受けることで、手続きの不備も防げるでしょう。
相続放棄を検討する場合は、プラスの財産の有無もしっかり確認してください。預貯金や不動産、生命保険金など、プラスの財産が借金を上回る場合は、限定承認を選択する方が有利な場合もあります。
借金について司法書士に0円で相談してみる＞まとめ
親の借金問題でお悩みの方は、当サイトで紹介している債務整理や相続問題に強い司法書士事務所・弁護士事務所への相談をご検討ください。多重債務問題は決して恥ずかしいことではありません。
実際に、毎年多くの方が同じような問題を専門家の助けを借りて解決しています。
一人で抱え込まず、まずは専門家に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
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